倒産に関する専門用語集

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  1. キャッシュアウト

    “キャッシュアウト”とは…

    • 資金の流出または資金から流出した金額のことです。
    • 資金とは①現金・②普通預金・③当座預金を指します。

     

    “キャッシュアウト”について知っておきたいこと

    • キャッシュアウトの原因は一般的に以下の3つです。
    1. 営業面⇒商品等の仕入によるキャッシュアウト。
    2. 財務面⇒借入金の返済によるキャッシュアウト。
    3. 投資面⇒有価証券等の固定資産の購入によるキャッシュアウト。
    • キャッシュアウトは現金元帳銀行元帳預金通帳の履歴から確認できます。

     

    YTOからのアドバイス

    • 破産管財人は管財業務において現金元帳銀行元帳預金通帳を過去2年に遡って確認します。
    • この確認の際に破産管財人は不自然な支出履歴(不自然なキャッシュアウト)をチェックします。
    • 不自然な支出履歴(不自然なキャッシュアウト)偏頗弁済に当たる旨の指摘を受けることがあります。
    • 偏頗弁済免責不許可事由に当たる旨の指摘を受けることがあります。
    • 特にチェックされる不自然な支出履歴(不自然なキャッシュアウト)は以下の通りです。
    1. 産直前の親族への借入返済
    2. 倒産直前の不適切な高額物品の購入
    3. 倒産直前の高額の現金引出
    • これらは注意が必要です。
  • ヤミ金

    “ヤミ金”とは…

    • 貸金業の登録の有無にかかわらず、出資法の上限を超える金利で金銭貸付を行う違法な金融業者のことです。

     

    “ヤミ金”について知っておきたいこと

    • ヤミ金からの借入がある場合、倒産直前に他の債権者に優先してヤミ金に返済を行うことは偏頗弁済に当たります。
    • ヤミ金からの借入がある場合、倒産直前に他の債権者に優先してヤミ金にジャンプ支払いを行うことは偏頗弁済に当たります。
    • 倒産直前のヤミ金への返済ジャンプ支払いには注意が必要です。

     

    YTOからのアドバイス

    • ヤミ金からの借入がある場合、債権者リストに計上して破産管財人にヤミ金からの借入の事実を報告することが適当です。
    • ヤミ金からの借入がある場合、ヤミ金からの借入を隠すよりも正直に破産管財人に報告をすることが適当です。
    • 正直にヤミ金からの借入の事実関係を報告するべきです。
    • 正直に報告をすればヤミ金からの借入返済ジャンプ支払い免責不許可事由として取扱を受けることはないと思います。
  • ブラックリスト

    “ブラックリスト”とは…

    • ローンの個人情報クレジットカードの個人情報等の事故情報が登録された個人信用情報のことです。
    • 金融機関等に「ブラックリスト」という名目のリストが存在するわけではありません。

     

    “ブラックリスト”について知っておきたいこと

    • 破産申立をした場合、その申立人は破産の事故情報としてブラックリストに登録されることになります。
    • ブラックリストに登録されるとクレジットカードを持つことができなくなります。
    • ブラックリストに登録されると金融機関からの借入等の契約ができなくなります。
    • ブラックリストに登録されると個人情報の確認が必要となる契約ができなくなります。

     

    YTOからのアドバイス

    • 破産申立をして持ち家(土地建物)を明け渡す場合、破産申立後の賃貸住宅の契約は難しくなります。
    • 賃貸住宅の契約に個人情報の確認があるからです。
    • ブラックリストに登録されると賃貸住宅の契約を断られます。
    • 破産申立前にブラックリストへの登録を前提に、困らないように準備をしておくことが重要になります。
  • 債権者リスト

    “債権者リスト”とは…

    • 破産申立をする際、申立人に作成が義務付けられた債権者の一覧表のことです。
    • 債権者リストには債権者の、
    1. 氏名
    2. 住所
    3. 借入の始期と終期
    4. 借入の残高
    5. 借入の原因
    6. 保証人の有無
    7. 最終返済日
    8. 担保の有無
    • などを記載することになります。

     

    “債権者リスト”について知っておきたいこと

    • 裁判所は債権者リストにより申立人の負債状況を確認します。
    • 裁判所は債権者リストにもとづき債権届け出書を債権者に送付します。
    • したがって債権者リストに債権者の漏れがあると債権額の確定ができなくなり、大きな問題となることがあります。

     

    YTOからのアドバイス

    • 意識的に債権者リストに特定の債権者を記載しないと、後々大きな問題になりますので注意が必要です。
    • 具体的には以下の通りです。
    1. 特定の親族からの借入債務を記載しない場合
    2. 特定の友人の借入債務を記載しない場合
    3. 特定の買掛債務を記載しない場合
    4. 親しい関係先に「倒産情報を知られたくない」と記載しない場合
    • 記載しなかった債務は破産後も残ることとなります。
    • 破産後に大きな問題になることがありますので注意が必要です。
    • 意図的に記載しなかったと判断された場合には免責が認められなくなることがありますので注意が必要です。
    • 債権者リストにはありのままの債権者を漏れなく記載しなければなりません。
  • 少額管財事件

    “少額管財事件”とは…

    • 簡易迅速に終了できる見込みのある破産手続きの1つです。
    • 破産管財人が調査した結果、換価財産が少ない場合に利用できる制度です。
    • 引継ぎ予納金の金額を従来の管財事件の場合よりも少額とする少額管財と呼ばれる破産手続きです。

     

    “少額管財事件”について知っておきたいこと

    • 少額管財事件は基本的に申し立てから3か月程度で完了します。
    • 管財事件に比べて債務者(申立人)の時間的な負担が少なくなります。
    • 少額管財事件は裁判所に支払う予納金も20万円からとなります。
    • 管財事件に比べて債務者(申立人)の経済的な負担が少なくなります。

     

    YTOからのアドバイス

    • 少額管財事件は簡易迅速に終了できる見込みのある破産手続きの1つです。
    • 簡易迅速に終了できる見込みのある破産手続きとは負債額が少額であること債権者数が少数であること等の破産手続きになります。
    • 少額管財事件は弁護士を代理人として申請する必要がありますので、負債額が少額の場合債権者が少数の場合にはまず弁護士に相談することが必要です。
  • 返戻金

    “返戻金”とは…

    • 保険契約者が自ら契約を解約した場合や保険会社から契約を解除された場合などに保険契約者に対して払い戻されるお金のことです。
    • 主に終身保険・養老保険・学資保険等で払い戻されます。
    • ただしそれまでに払い込んだ保険料の全てが戻ってくるわけではありませんが、年数が経過すればするほど返戻率が上昇して払い込んだ保険料の累計を上回る場合もあります。

     

    “返戻金”について知っておきたいこと

    • 保険は資産の扱いになります。
    • 破産申立の手続きでは法人名義の保険個人名義の保険資産目録に於いて裁判所に報告することが義務付けられます。
    • 裁判所に報告するということは資産回収(没収)の対象になるということです。

     

    YTOからのアドバイス

    • 契約をしている保険に返戻金がある場合、破産申立前に解約をして返戻金得ても差支えありません。
    • 保険の解約は資産売却に当たりますので、破産申立より2年遡って資産売却の状況を裁判所に報告しなければなりません。
    • したがって返戻金の使途が不適切にならないように注意することが必要です。
    • 返戻金を偏頗弁済に該当する使い方をした場合や返戻金を免責不許可事由に該当する使い方をした場合、破産申立で問題となりますので注意が必要です。
  • 債務超過

    “債務超過”とは…

    • 債務者の負債の総額が資産の総額を超える状況のことです。
    • つまり資産を全て売却しても負債を返済しきれない状況のことです。
    • 法人が破産(倒産)する原因となります。
    • 債務超過は決算書の貸借対照表で判断されます。

     

    “債務超過”について知っておきたいこと

    • 金融機関は債務超過を新規貸付が出来ない条件とすることが多いです。
    • そのため特別な事情が無い限り貸借対照表が債務超過の状況では新規貸付をしないのが一般的です。
    • ただし貸借対照表は事業を継続した時の将来の収益見込みを反映していません。
    • 将来の収益見込みがある場合にはその限りではない判断になる場合もあります。

     

    YTOからのアドバイス

    • コロナの影響での急激な売上減少による債務超過の場合は一概に債務超過との判断になることはありません。
    • コロナ禍での新規貸付(新規融資)を金融機関に要請する場合は将来の収益見込みにもとづいた要請を行うことが必要です。
    • ただしコロナ禍に於いては債務超過を理由として新規貸付を断られることがあります。
    • 新規貸付を断られて破産(倒産)に追い込まれることがありますので注意が必要です。
  • 黒字倒産

    “黒字倒産”とは…

    • 利益は計上されているのに運転資金や手元に残っている資金が枯渇すること起こる倒産です。
    • つまりキャッシュフローが尽きてしまったことによる倒産です。

     

    “黒字倒産”について知っておきたいこと

    • 黒字倒産は「勘定合って銭足らず」の倒産です。
    • 帳簿上は利益が出ている(=勘定合って)のに、手元には資金が残っていない(=銭足らず)の倒産です。
    • 黒字倒産の原因はどんぶり勘定の経営です。
    • 経営者に経営能力が無い場合に起きる倒産になります。

     

    YTOからのアドバイス

    • コロナ禍に於いて黒字倒産の危険が増しています。
    • 注意が必要です。
    • ⇒コロナ禍でキャッシュフローは低下します。
    • ⇒コロナ禍は固定費は低下しません。
    • ⇒コロナ禍ではキャッシュフローが尽きてしまう状況が生じます。
    • 経営者が経営努力をしてもコロナ禍ではキャッシュフローが急激に低下し、黒字倒産の状況が生まれ安くなります。
    • コロナ禍では経営努力をすればするほど黒字倒産の状況が生じます。
    • 注意が必要です。
    • コロナ禍でキャッシュフローが回復する目途が立たない場合、黒字倒産の危険性を認識することも必要になります。
  • 倒産手続き費用

    “倒産手続き費用”とは…

    • 倒産手続き(法人の破産手続き)に必要となる費用のことです。
    • 倒産手続き費用は倒産手続き(法人の破産手続き)を委任する弁護士に一括支払することが一般的です。

     

    “倒産手続き費用”について知っておきたいこと

    • 倒産手続き費用は裁判所に納める予納金と弁護士に支払う弁護士費用弁護士実費の合計金額になります。
    • 予納金は負債額により規定されます。
    • 負債額が大きいほど予納金は高額になります。
    • 予納金を安くする相談は一般的にはできません。
    • 弁護士費用は負債額により規定されます。
    • 負債額が大きいほど弁護士費用は高額になります。
    • 弁護士費用を安くする相談は可能です。
    • 弁護士実費は倒産手続きの事務実費交通費実費日当になります。
    • 弁護士実費を安くする相談は可能です。

     

    YTOからのアドバイス

    • 倒産手続き費用を準備する方法に特に決まりはありません。
    • 現金預金から準備をしても差支えありません。
    • 売掛金から準備をしても差支えありません。
    • 資産売却資金から準備をしても差支えありません。
    • 親族等からの借入金から準備をしても差支えありません。
    • ただし倒産手続き費用の準備が免責不許可事由等の問題のある行為になっていないことが前提になります。
  • 解雇予告手当

    “解雇予告手当”とは…

    • 30日以上前に従業員に解雇を予告することが出来ない場合に支払わなければならない賃金のことです。
    • 解雇予告の代わりに支払われる賃金のことで30日以上の平均賃金とすることが一般的です。

     

    “解雇予告手当”について知っておきたいこと

    • 雇用主は労働者(従業員)を解雇する場合、原則として30日以上前に解雇予告通知により解雇を予告しなければなりません。
    • 解雇予告通知には会社の経営継続が不可能となった為等の解雇理由を記載することになりますのでトラブルになることがよくあります。

     

    YTOからのアドバイス

    • 30日以上前に解雇予告を通知できない場合、解雇予告手当を支払うことにより事業停止当日に従業員を解雇することができます。
    • この場合、当月の給料解雇予告手当(平均賃金1か月分)の給料を解雇時に支払うことになります。
    • 30日以上前に解雇予告を通知して従業員とのトラブル債権者からの取立トラブルが生じることが予測される場合、解雇予告手当を支払うことによる事業停止時の解雇通知の選択も必要かもしれません。
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